いわゆるフリーゲームに関する感想や二次創作メインに投稿しています(2023年現在)。取り扱い作品:『冠を持つ神の手』

2012年11月26日月曜日

【かもかて小ネタ】塔の中の夢見鳥

【 注 意 】
・「【ネタ未満】かもかてで小ネタにも成らない端書き」2番目のネタで
 BAD ENDその3みたいな
・あと、主人公は女性分化




塔の中の夢見鳥



 その塔にはお姫様が住んでいました。

――――そう、壁で別れるより以前からある話だから、そんな言葉もある。
なんか、アネとかイモウトって言い方もあるらしいよ。
……あぁはいはい、続けようか。

 お姫様は、塔から出られません。塔から、お姫様のお部屋から出ようとすると、女王様が怒るのです。一つの前の女王様の時は、お城から出てはいけないだけだったのに、今の女王様はそんな意地悪を言うのです。
 最初の頃は、それでも元気でいられました。お姫様はとってもとっても体の、心の強いひとだったからです。
 でも、日がな一日同じ部屋で同じ風景を見て、おつきの人たちと同じやり取りをして。……訪ねてくる人も誰もいなくて。
 お姫様はどんどん弱っていきました。
 ご飯を食べる量も、いつからか減ってしまいましたから、すぐに病気になってしまいます。お姫様なので周りのお付きの人は優秀でしたし、お医者様も最高の人でしたから、いつもすぐに病気は治りました。
 でも、昔みたいには元気になれません。
 だんだん、お話も難しくなっていきます。お付きの人がおはようございますと挨拶しても、おはようが返らなくなりました。ご飯の量も、もっとずっと減ります。
 ただ。
 ただ、代わりに手紙を書き始めました。
 書いては捨て、捨てては書き、としていたので、たくさんの羽筆と紙がお姫様の部屋に持ち込まれるようになりました。
 そうしてある日、お姫様はすっかり白くなってしまった頬で、お付きの人に言いました。
 私が死んだら、と。
 ……私が死んだら。
 …………私が死んだら、この手紙を、どうぞ彼女に届けてください、と。
 願いは聞き届けられました。お姫様がそう口にした、その日の内のことでした。
 女王様が届いた手紙を読んでどんな気持ちになったのかは、分かりません。女王様はお付きの人もいない、一人だけの部屋でお姫様の手紙を読んだからです。
 内容は分かりませんが、女王様は翌朝お付きの人に言いました。歴代の王と並べて墓を作るように、と。

――――おしまい。
そう、おしまい。
今はもう昔の、何故語られているのかも分からない、つまんない話。
嫌いじゃない? ……へぇ、あんたらしいけど。
あんた、さ。やっぱり……あー……いや、いいや。
こどもはもう眠っちゃえよ、明日からはまた勉強三昧なんだからさ。
……おやすみ、     。





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一応漢詩としての「胡蝶の夢」ネタで書こうと思ったのですが
なんかそこまで行かなかった。
そもそも単語・用語としてのそれにすら辿り着いていない。