いわゆるフリーゲームに関する感想や二次創作メインに投稿しています(2023年現在)。取り扱い作品:『冠を持つ神の手』

2014年6月8日日曜日

【かもかて小ネタ】ちいさなうそつき と おおきなうそつき

【 注 意 】
・保育所パラレル
 →主人公/園児 ヴァイル/園児 タナッセ/保育士
・タナッセ視点三人称


ちいさなうそつき と おおきなうそつき





「タナッセーじゃあねー」
 緑のひよこ頭が言うので、タナッセは勿論いつも通りに返す。ちゃんと先生と呼べ、と。ひよこ頭の男の子を今まさに抱き上げようとした父親も、
「ヴァイル? ヴァイルはきちんと挨拶の出来る子だろう?」
 と聡しつける。
 こうなれば子供――ヴァイルも頬を膨らませながら従うほかない。普段はベビーシッターが迎えに来て、父親が迎えに来ることなどめったにないのだから。
 数えるのも馬鹿ばかしいぐらい繰り返されてきたやりとりを終えると、保育所の中に残った子供達はもう数える程。他の教室の保育士はそれぞれ時間外保育の子らを一つの部屋へ集めている頃だろう。
 あの騒がしさは決して嫌いではない。が、毎度まいど繰り返されることは、その後の仕事も考えれば食傷気味かもしれない。とはいえあの闊達さは、とか組の中でも一番で、実際タナッセも面倒を見るのが一番楽しみな園児ではあった。
 ただ。
「タナッセ先生」
 出入り口も兼ねたグラウンド向きの大きな窓。その真逆から声が掛かった。
 最後の園児だ。いつも通り、この黒髪の子供だけが時間外保育の対象だった。
 舌足らずを隠そうとする声音はずっと大人しく体育座りをしていたが、立ち上がりながら続ける。
 今日も母は遅いです。お世話になります。
 空色のスモッグを着たこどもは、いわゆる“大人好きする子供”ではない。“大人の理想の子供”ではない。タナッセもご多分に漏れず子供らしい子供を好いているし、この可愛いと表するにはあまりに問題の多いこどもを好いているかどうかは怪しいと感じている。
 ただ。
 ……ただ、喉に引っかかった小骨のように、そのこどもをどうしても気に掛けてしまうのだった。
 きっと、どこかで見覚えのある態度を見せつけるせいなのだろう。
 そっと嘆息して、タナッセは幼児の猫っ毛を緩いおさげにした頭に軽く手を乗せた。
「忘れ物はないな? なら、行こう」










*+++*+++*+++*+++*+++*
ベタ設定好きです。
いいですよね現代パラレルとか幼少期パラレルとか。
あと記憶喪失ネタもいいし実はドラマですネタもいい。
ミーハーです。

現代パラレルの方は三足族の特性を趣味の関係で残してありますが、
こっちは趣味の関係で幼少期から性別が決まってる感じで。
まぁ言うまでもなく主人公はおなごです。幼女です。
あと出てきてませんがユリリエも保育士です(仮)。

っていうかヴァイルが幼稚舎通いじゃないのが謎ですが、
そもそもタナッセが保育士やってるの自体がアレなのでもうアレコレぶん投げ。