いわゆるフリーゲームに関する感想や二次創作メインに投稿しています(2023年現在)。取り扱い作品:『冠を持つ神の手』

2013年6月13日木曜日

【かもかてSS】デュベル

【 注 意 】
・タナッセ愛情B後
・タナッセ視点三人称、成人向け、溺れる





デ ュ ベ ル



 溺れている、という自覚はある。
 長い脚を折りたたまれた妻は柔く蕩けた場所を掻き回されて、甘くも単調な声を上げている。姿勢のせいで奥を突くと言うより奥に押しつけ擦る状態になっているし、太ももが胸の尖りを刺激してくるようで、口から零れるのは嬌声だけだ。おかしくなる、なっちゃう、と何度もなんども一人で高みに至る。けれどまだ足らないと、彼を、タナッセを包む襞を蠢かせた。肌身を優しく撫でるだけで達してしまう程快楽を感じさせてからの挿入は彼女の中から理性を粉微塵に砕いてしまったらしい。幼子のわがままのように同じ言葉を繰り返し、ねだってくる。いつものちょうだい、と。
 傍目には彼が彼女に、ではなく、彼女が彼に溺れている、と感じられるだろう。だが内実は、タナッセが彼女に頭から溺れきっているのだ。
 彼を愛してくれる心だけでなく、この頼りなくも柔らかい身体を手に入れたのは、彼女が妻となったその日。知識は豊富だが基礎のなってない上に応用ばかり学んでしまったようで、何をしても一々反応が可愛らしく堪らなかった。目を丸くしたり、恥じらいに身をよじったり――それでもタナッセの全てを受け容れようとして。
 二度目からは彼女の体調が万全になってからと考えていたはずが、脆くも打ち砕かれた。終わったあと、一回じゃ足らない、もっと長い時間タナッセを深く感じていたい、などと言われたことも大きい。気付けば毎日のように夜は二人で耽っている。
 今夜も隅々まで彼女の体を味わっていたが、自身を蜜を零す場所へあてがった時、彼女の頭の上でまとめられた両の手が目に入った。
 普段、声が恥ずかしいと自分の指を噛もうとする彼女の手首を縛り上げている。白く細い指に傷がついてしまうからだ。だが、どうしても姿勢や動きが制限されてしまうし、てのひらや指の股も弱いようだから触れてやりたい。
 ふと、一つの思いつきが浮かんでくる。それなら彼女の指には痕が残らず、しかもまさぐって気持ちよくしてやれる、と、熱に溶けた頭では名案に思え、タナッセは欲しがる彼女の、どこかぼんやりした瞳に思いつきを囁いた。彼女はもどかしそうに、それでいい、いいから、早く入れて、と身体を揺らす。
 許可が降りたので、遠慮なくタナッセは手を伸ばした。ひとまとめに結ばれた彼女の手首に伸ばし、布を解き――自身の指をふっくらした唇に持っていく。彼女は受け入れるように小さな口を開いた。
 素直とも従順とも呼べる姿に、ぞくぞくと背筋を駆け上るものがあって、タナッセは口の端を吊ってしまう。色々言った割に、結局、彼のほうが……少なくとも彼女に対しては彼のほうが、意地の悪い趣味を持っているのかもしれないと僅かに反省の念もあるが、ともあれ指を押し込んだ。彼女のすんなり伸びた綺麗な指とは違い、骨ばった彼の指を。
 口の粘膜は、歯のかたい感触を除けば、甘酸っぱい蜜に包まれた花弁の奥の粘膜とよく似ていた。上顎や舌をなぶっていると、蜜壺の中を犯している気分になる。いじるたび身体を震わせるのも同じで、その敏感さが可愛くてたまらない。
 タナッセの指を咥えさせたことで思わぬ副産物もあった。指を噛まないようにしているらしい彼女は、ん、とくぐもったものながら、彼の腰に来る嬌声を届けてくれる。
 そうして今、タナッセが指を外してしまっても彼女は彼の首に腕を回したまま、激しくも甘やかな響きを可愛らしい唇から溢れさせていた。ちょうだい、タナッセの、いつもの、ちょうだい、と繰り返しせがみながら腰を振る彼女の声は、彼の全身を熱くしてやまない。強く打ち付け、熱を放出しても、恍惚としてあえかな喘ぎを洩らす濡れた淡紅色の唇を見てしまうと、すぐさま彼は熱を取り戻してしまうのだ。
 彼女の余韻の抜け切らない身体は、彼の肉が膨張しただけで激しく痙攣する。
 ひろげないで、ひろげちゃいや、また、またいっちゃう、と言いながらも彼女はタナッセに縋ったままだ。細い脚が辛うじて抵抗の動きを見せたが、ならこのまま抜いてもいいのかと問うと、激しく首を振った。そして、言う。
 やめないで、やめちゃだめ、もっとタナッセにしてほしい、してください。
 素直ないい子だと、平常では言えない褒め言葉をタナッセは微笑みながら口にした。普段の自分もこの程度真っ直ぐ様々を言えればいいのだが、と内心苦笑しながら。
 とはいえ、睦み合っている最中限定ながらも言えるのは、やはり妻のおかげではある。
 冷静が残る間は恥ずかしげな返事が彼を煽る。既に片手どころか両手で数えても足らないぐらい行なっているのに、彼女はどこか初々しい。だから、前戯の間も色々話しかけて反応させてしまう。今のように陶酔していると、強い快への怯えから来るのだろう否定や、見せかけの中断を告げる彼への懇願が蠱惑的だ。やはり、何かと言葉を紡いでしまう。
 そして、そんな彼女に少しの意地悪をすると更に愛らしい様子を見せてくれる。タナッセは一度絡みつく彼女の中から全てを出して、はなれないで、はなさないで、と請うてくる彼女に勿論と肯き、一気に最奥までを刺し貫いてやった。真白い身体が大きく跳ね、切なくも感じられる甲高い声を上げる。
 彼女の蜜壺は、中を広げられること、腹側の性感を刺激されること、一番奥を突かれ擦られること、全てに弱い。抽送に苦しげな表情でいた初めのうちは、花芯や胸など特に敏感な部分に触れて気を逸らしてやらなければ達せなかったものが、いつの間にかここまで快感を得られるようになった。
 彼女は彼の身体の下で身悶え、求めるように腰を振る。その身を走る悦びは如何程なのか、彼女はただただタナッセの名を何度もなんども呼ぶだけになった。彼女に名を口にされると、どうしようもなく彼の胸は疼く。かつて、彼があるこどもの名を音にしなかったように、そのこどもはやはり彼の名を口にしたりはしなかったから。彼女は今、甘く優しく、心地良い声音でタナッセを呼ばう。応えるように彼もまた妻の名を繰り返し呼ぶ。
 彼を包む内壁は一度目の挿入の際よりぬるついていた。彼女の中から溢れる透明な甘酸っぱいものと、彼が吐き出した白く苦いものが混じり合い、動きを加速させる。綺麗な彼女の可憐な場所を、自身ですら醜悪に思うものが穢して更に挿し貫いている様を見れば、どうしようもないぐらいに高ぶった。嗜虐性を自嘲する己を遠くに、二度目の絶頂は先より少し早く来る。ほぼ同時、折りたたまれた細く小さな身体を限界まで大きく反らして、彼女も幾度目かの昇りつめに至った。
 もうむり、と弛緩した彼女は両腕を寝台に落とす。これ以上はほんとうに、タナッセしかかんがえられない頭になってしまうから、いや、と。そういった意味の言葉を舌足らずに紡いだ。
 タナッセは彼女の唇に自身のそれを軽く重ね、中から出してやる。抜く時、襞が名残惜しげに蠢いたが、気付かなかったことにした。数度の深呼吸ののち彼女の脚を開放した彼が花弁から零れる白を始末するため手を伸ばすより早く、少し冷静を戻した声がむくれて言う。
 最近のタナッセはなんだか余裕がある。私はこんななのに。
 どこが余裕だ、ついでに「こんな」とはどんなだ、とタナッセは訝しむ。初夜から今に至るまで、まともに思考する余裕があったためしなどない。ただ彼女と重なっていたくて、あたたかな身体を確かめていたくて、彼だけを見つめ呼ぶ瞳と声が欲しくて、貪るように抱いてしまう。
 こんなだろう、と彼女は後半の疑問にだけ答えた。
 こんな、欲しがってばかりのいやらしい身体、タナッセは厭じゃないのか。したいだけの女じゃないか疑わないのか。さっきも自分でもうやめようと言ったのに……離さない動きをしてしまった。
 タナッセは言葉を失う。全く大したことではないだろうにと、そう思う。第一、そんなことを言ったら彼はどうなる。蜜蝋のゆらめきに輝く乳白色の肌や絹糸のごとき長い黒髪、鏡石の黒目に見惚れ、彼が理性を何処かにやって酷い要求をしても――たとえば大きなふくらみを圧迫するような先程までの体位だとか――受け容れ許し赦す彼女に溺れているだけだ。懇願する彼女のため抜いたものも落ち着いてくると、反省の念ばかりが胸に去来する。
 だから、と。でも、と。
 まだほのかに色づいている裸身を縮こまらせて、彼女は囁いた。
 嫌いにならないで。
 だから、と。何故、と。
 タナッセは不安げな彼女を力の加減など忘れて強く掻き抱いた。耳に唇を寄せ、そんなことあるか、とはっきり告げる。他者へ見せる凛とした彼女も、タナッセにだけ見せる甘えたな側面も、時に自分から誘い容易く快楽に溺れる淫蕩な部分も、等しく愛らしい。
 全く、と吐息した。タナッセの三つ年下の妻は、少々自己認識が甘い節があるとは思っていた。彼女の母親は見目も中身も大層愛くるしい人だったというから、同じ性別である自身に紗幕が掛かっているのかもしれない。
 彼女に想いを伝えるのは恥ずかしくてたまらない。無様なまでに言葉が出てこない。結婚の申し入れも、持って回った言い方しか出来なかったぐらいだ。
 だが、言っておくべきなのだろう。誤解ないよう、普段の彼女がそうするように、はっきりと。
 タナッセは内心肯き、けれど直截な語句は用いることが出来ず、なんとか一言だけを形にした。
 彼女の名前を殊の外甘い心地で舌に乗せ。
 そんな心配をせずとも私はお前に溺れている、と。










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タイトルはビールの銘柄。
悪魔だの魔性だの呼ばれているビールです。
口当たりがいいので飲みやすく思えるのに、
アルコール度数は(ビールとしては)それなりだわ
気付くと酔いがドカン回ってるわなので。
私はゲコゲコなので一人では絶対に飲みきれない。

えろは、
恥ずかしい・エロくもエロスもない・起承転結が書けない人間には難易度マッハ
の三重苦なのですが、定期的に書きたくなります。
(男性向けな直接的な語句満載のエロも書きたくなりますが
主人公を「」で喋らせる気が今のとこないのでなんとか衝動をスルー出来てます)
くっそう、えろいいよねえろ!