いわゆるフリーゲームに関する感想や二次創作メインに投稿しています(2015年現在)。取り扱い作品:『冠を持つ神の手』

2013年2月5日火曜日

【かもかて小ネタ】フィンチ二羽 - Serinus canaria

【 注 意 】
・ヴァイル愛情A後
・男ヴァイルと女主人公、ヴァイル視点三人称



フィンチ二羽 - Serinus canaria



 振り回しているという自覚はあるが、そんな彼より突飛な行動を彼女は行う時がままある。
 彼女とは、彼、ヴァイルのかけがえない半身であるもう一人の寵愛者だ。成人した今でこそ体格など差が出てしまったが、未分化だった頃は身長も体型も大きな差がなく、まさしく彼の対照存在でもあった。そんな、今や彼女であるもう一人は、出会った初めの頃は男性になるつもりでいた、と口にしていたが、ある時、ヴァイルは昔から男になると宣言しているのは本当かと尋ねてきて以来、元々興味は強かったらしい身嗜みにより力を入れ初め――結論を言うと、現在ヴァイルの妻の座に落ち着いた。
 妻である半身は人の途絶えた玉座の間に訪れると、言った。もう今日の謁見も書状も裁決も……とにかく何もないはずだ、そのように調節したのだから。道理で余裕があると思ったと肯くと、進み出て彼の手を取り、共に羽目を外してばかりだった子供の時分のような笑みを浮かべた。
 舟に乗ろう?
 あぁ成程、とヴァイルも笑う。忙しさで忘れていたが、今日はその日だったのか。

          *

 王様業はとかく忙しない。
 王を目指していた相手が王配なだけあり、関係各所に顔を出して負担軽減を行ってくれてはいるが、国の頂点でなければ動かない部分はやはり多い。二人きりの時間を作るのは一苦労どころの話ではないだろうに、ヴァイルと妻は二年前の今日にした通り、湖の上、小さな舟で指を絡めていた。護衛達が桟橋の辺りにたむろしているのは業腹だが、かなりの譲歩をされた形だと分かってはいるから彼は見ないことにする。
 あんた凄いよね、と苦笑すると、ヴァイルに呆れられるほどじゃない筈だから褒め言葉と受け取ると、同じく苦笑された。
 そして、どちらからともなくあの日の約束を口にする。響く高さは変わったが、互いの声は混ざり合って変わらぬ心地よい和音を作り出す。
 湖上の微かに冷えた大気の中、天に瞬く星の下。
 あの日の約束を、繰り返した。

          *

 住まいである塔に並んで歩くヴァイル達は、一日の疲れなどなかったように話す。
 大した内容ではないと冷静になれば思うのだが、会話の最中は楽しくて堪らないことを。
 出会ってから三年も経っていないのに、小さな頃から共にあったように錯覚してならないほど、気安い気分でヴァイルは話す。指と指とを絡めた手さえ初めからそうであったように、違和感がない。力を込めているのは彼女で、彼はただ握られるままだが、不快もない。むしろ離されずいることに安心が強くある。
 思い出すのは男でも女でもなかった最後の日だ。
 思考に沈んで声を掛けられただけで落下しかけたヴァイルを屋上に引っ張り戻し、抱きしめたまま離さなかった彼であった彼女は、視線の位置が変わり、成長してしまった彼からは頼りなく思える今でも変わっていないのだろう。
 ありがとうを口にする代わりに、手に力を込める。握り返す。
 彼女はそんな夫を見上げ、微笑んだ。










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ヴァイル友情とタナッセ友情A・Bは
異性にした場合かつ印愛好愛を互いに高くしていくと
(タナッセはキャップ外すための積極性)
愛情ルート行きそうな気がします。
ヴァイルは友情≒共感の延長線上が愛情のケースが基本で、
タナッセはヘタレだからと各々理由は異なりますが。