いわゆるフリーゲームに関する感想や二次創作メインに投稿しています(2023年現在)。取り扱い作品:『冠を持つ神の手』

2013年2月22日金曜日

【かもかて小ネタ】インティメイト・ディスタンス

【 注 意 】
・タナッセ愛情最後の日
・パーソナル・スペース
 ※折りたたみ忘れ修正




 適度な土足は意外に心地よい。
 タナッセと親しくするようになってから気付かされたことだ。そもそも、私にとって踏み込まれた経験というのは……事細かに記憶をさらっても仕方がないので端的に述べるが、疎外に他ならない。疎外するための侵入、侵略。
 別の在り方なんて私は知らなかったけれど、冷たく重い感覚を味わった地下湖でつい先日発見した。鋭い岩の冷たい痛みに押しつけるあたたかく大きなてのひら。わけても印象的だったのは、たった一瞬だけ重なった唇の意外な柔らかさ。どれもこちらの意思を問わず一方的な行為だったにも関わらず、顔を真っ赤にして駈けだした彼の背中を見ながら、私は疑いようもなく明白だった好意に頭から浸ってしまっていた。初めて、私からでなくタナッセから向けられた愛情表現だった。
 二つの基点を持って、――そこに初恋という要素が混じることによって、多少の強引さにひどく心地よさを覚えてしまう。
 タナッセはあの儀式のせいで負ってしまった罪悪感と、伴う消極性さえ頭をよぎらなければ積極性に溢れているというか、案外主導的だ。口づけの一件は分かりやすい。数日前はずぶ濡れを厭わず彼を追いかけた私の髪や手に躊躇わず許可も取らず触れた。
 そして今も。
 前置きこそあったものの、私の返事を待たずに抱き上げてしまう。
 子供として過ごせる最後の日だった。中庭の、ほとんど森のような一角には木漏れ日が差し込んできてややもすれば昼寝出来そうな居心地良さだった。私とタナッセは二人で不器用に将来を誓い合い、それだけでも思考停止する強烈さで嬉しかったのに横抱きにされた。身体全てがタナッセの腕の中に収まっている安心に力を抜いて顔を寄せる。私は軽いらしい。……城へ来てからだいぶ太ったと思っていたのに。
 顔を寄せると、どうもタナッセにとっては別領域になるらしく、頬を朱に染めてどもった。口づけだってし合った仲だろうと言いたいが、我慢する。
 我慢して、これからに期待して、私は自分から強引に唇を重ねに行った。










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期間制約やタナッセの性格上、「神の業~」なし愛情は有り得ないのですが、
罪悪感ゼロな愛情ルートがあったらどれだけバカップル入るのか、
愛情確定後のデレデレな言動を見ていて考えます。

しかしまあタナッセは自分より弱くないと恋愛気付けないし入れないけど
引いちゃうタイプだと駄目なのだから面倒(褒め言葉)な御仁だ。
その辺がまあ、好愛キャップ掛かる友情ルートでゴールインかますためには
「押しかけ女房ならあるいは」と言われるように
押しの強さが必要な理由でもあるのでしょうが。
(あとはまあ、憎悪Aのように二進も三進もどーしたもんか状況に陥れば有り得るのか)